のーみその中







「のーみその中」














涙がしょっぱいことを知っていますか。

出てきた水分をいっぱいコップにとっておくの。

そして後で舐めるでしょ。

涙は悲しみから出てきた膿のような味がする。

痛くて痛くて、どうしようもないんだけど、出てきたくて出てきたくて、しょうがなかったんだよ、きっと。


寂しい日の空は、雲が動いてない。

この世界に、青い地球の上に、あたし一人しかいない錯覚に陥るんだ。

悲しい日の空は、雨が降らない。

水分は全部あたしが持っていってしまうから。

青から赤に染まる。


ねぇ、君は今何をして、何を想って、生きているの。


頭を抱え込む時がある。

どうしようもなく怖くなるとき。

あたしなんて消滅してしまえばいいんだ、って思うとき。

いやな匂いがするベッドに入って、枕に顔を押し付けて、いつの間にか広がってく染みにも気づかずに。


涙の色を知っていますか。

透明でもなく、水色でもないんです。

煮ても、焼いても、なんにも出てこない。

悲しくても悲しくても、そう簡単には出てこない。

涙の色は、痛みの色です。

あなた自身にある、痛みの色。

絞り出された毒に、悲しみと瞳の粘膜と、ちょっとした人間味を合わせれば、ほらできあがり。


空を近くに感じたことはない。

ましてや、雲に触りたいと思ったことも。

あたしはちっぽけなんです、どうしようもないんです。

なんて、思ったことも。

身長160cm、手の長さをあわしても190cmくらいでしょ。

そんな高さで空に届いたら、あたしはもう生きてる意味を無くすことになる。

世界を、未知を知ってしまったら、あたしは、もう、何も。


心はどこにあるんだろう。

ほら、またむしゃくしゃしてきた。

感情があふれ出しそうだ。

あ、涙、涙。

出ちゃう出ちゃう。

よいしょ、よいしょ、って瞳の奥に入っていきなさい。

まだあなたたちの出番じゃないよ。


あたしの目は360度視野に入るわけでもなく、500m先を見れるわけでもない。

誰かの服が透けてみえるわけでもなく、心を見れるわけでもない。

あたしの脳みそは、世界中のもの全てを100%知ってるわけでもないし、10%も知れるわけじゃない。


ねぇ、君は今誰を想っているの。

あたしは。


どうしようもなく、ぶち壊したいときがある。

何もかもを。

この淡々としすぎている日常も、あたし自身も、何もかもを。

ハンマーで、爆弾で、素手で。

心がぐしゃって何かに押しつぶされて、それを修復してる間、あたしは代わりに何かを壊したがる。

そして、何もかもが壊れたとき、あたしはまた、無意味になるんだ、きっと。


心は何でできているの。

削れないダイアモンド、鋼のよろい、ぐにゅぐにゅしたこんにゃく、落ちたら終わりの卵。

あたしの中身は何でできているの。

脳みそ、心臓、胃、小腸、大腸、血管、骨、水分。

あたしは何を考えているの。

あたしは誰なの。

あたしは何を意味しているの。

あたしに見えるものは何。

あたしの原点は。

あたしは今どこにいるの。

あたしは誰を愛しているの。

あたしは、あたしは、あたしは、あたしは、あたしは、あたしは。



涙の意味を知っていますか。

どうしようもなくつぶれそうになったとき、あたしの中の何かがはじけそうになったとき。

誰かがそっと背中を押してくれて、その心地よい温かみを感じて、感動して、湧き出る水。

特別なものでも何もない。

誰の中にでもある、湧き出た水。



ねぇ、君は今誰を想ってるの。

あたしはずっと君を想ってる。

振り向いて、こっちを向いてよ。



ほら、出番だよ。

よいしょ、よいしょ。

あ、涙、涙。

手ですくってちょうだい。































 
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